マドカが連れてきたのは、さっきまで舞耶たちとお昼を食べた裏庭だ。

まだチャイムは鳴っていないのに、舞耶たちはもういない。




「夢子ちゃん。
アイツは夢子ちゃんの何?
ユメって呼んでさ…馴れ馴れしいんだよな」

「彼は…桐野くんは…。
昨日マドカが話していた、お兄さんです…」



素直に話すしかなかった。

マドカの怒りは収まっていないらしく、不機嫌なオーラが伝わってくるから。

私の返答によっては、マドカは私にも怒りだすと思うから。



「お兄さん…?
嘘だろ…アイツが……?」

「本当です…。
でも桐野くんは、彼氏ではありません」

「夢子ちゃん!」



マドカは両手で私の肩を抑えた。

力が強く、私は顔をしかめた。




「アイツ、思いだした」

「え?」

「アイツ、桐野大貴だろ?」



な、何でマドカ、桐野くんを…?

私、桐野くんとしか言っていないのに。



「桐野大貴は危険だ、やめておけ!!」

「マドカ…何?
桐野くんについて、知っているの?」