マドカと私が付き合い始めたことは、瞬く間に広がった。




「ねぇ。
桐野くんはどうなったの?」



舞耶たちは私が桐野くんに告白し断られたことを知っている。




「…それがね。
会っちゃったの。
マドカとの買い物中に」

「は?
嘘でしょ?」

「なぁにぃ?
桐野くんってぇ、夢子のストーカーなのぉ?」

「ストーカーではないと思います」



私も香枝の言う通り、ストーカーではないと思う。

多分たまたま見つけたんだと思う。



ただあの時、桐野くん1人だったなぁ。

手ぶらで何も持っていなかったし。

…何していたんだろ?




「桐野くんなんだって?」

「…お幸せにって」

「はぁ?
桐野くん何考えているんだろうね?」



バリッと海苔の音を立てながら、舞耶はおにぎりを頬張った。