「ユメ…」

「…好きだから。
桐野くんが、好きだから…。
桐野くんのこと…もっと…知りたいの……」




私は肩にかけっぱなしだった鞄を、そっと握りしめる。




「…ユメ……」

「…」







「…ゴメン」








そう言いながら、桐野くんは





図書室を出て行った。





ピシャンッと、図書室の取ってつけが悪い扉が閉まる。

その瞬間、私は崩れ落ちた。




床にしゃがみ込み、ひたすら泣いた。





こんなに辛いなら、




…好きになるのも、

出会うのも、





やめたかった……。