「桐野くん…」

「おはよう。来てくれたんだ」




桐野くんはテキトーな場所に本を置くと、私の方へ来た。

そこでニコニコと可愛らしい笑みを浮かべる。




「昨日は…ごめんなさい」

「昨日?
…あぁ、そういうことね」



桐野くんは前髪だけオールバックをクシャクシャと触る。

それなのに髪型は変わらない。

クセづいているのかな?



「俺もゴメンネ隠し事して」

「いえ…」

「んん?
出会った時と同じ、敬語になっているよ。
俺は17歳でユメと同い年なんだから。
敬語はナシだよ!」



“俺は17歳”…。

桐野くんは、私と同い年…。

年下にも年上にも、同い年にもいない。




「桐野くん…」

「ん?」





「あなたは、
何者ですか……?」