「一体誰なんだろ…“桐野大貴は”」



あの本を隠す慌てぶりといい、誰も知らない存在といい。

桐野くんには、謎が多すぎる。



「やっぱり幽霊なんじゃなぁ~い?」

「ミナは余計なこと言わないの!」



…まぁでも。

正体を知ったところで、私は桐野くんに会わないと決めたから。

桐野くんが誰であろうが、私には関係ない。




でも、昨日の私は可笑しかった。

何で本を隠されたぐらいで、あんなに冷たい言葉がスラスラ出たのだろうか?

普段の私ならあり得ないのに…。




「…どうしたの夢子」

「わたしたちで良かったら相談に乗るわよ?」

「ミナも女子の悩みならぁ、いくらでも聞くぅ~!」



…優しいな、皆。

私は話すことに決めた。