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あの日から1週間。

私が放課後図書室へ行くことがなくなった。

桐野くんにも会っていない。




舞耶たちは、自分たちで桐野くんの正体を掴もうと、学年を全て探した。

桐野くんは初めて出会った時、桐野くんは私に年を聞いた。

私が高2の17歳だと伝えると、桐野くんは「俺と同い年」だと言った。

だから舞耶たちは、2学年の全クラスに行き、“桐野大貴”を探したらしいが、どこのクラスにも“桐野大貴”は存在しないし、誰も“桐野大貴”を知らなかった。

そのため全学年を探したらしいけど。



「いなかったよ」

「…何でミナまでぇ~…」

「3年にも1年にも、“桐野大貴”はいませんでした」



文句を言いながらも、ミナは調べてくれたらしい。

ミナは男嫌いだがアイドル級の美少女のため、どこへ行っても誰かしら男子には話しかけられるらしい。

それを嫌がらず笑顔で対応するから、ストレスがたまるんだよと、舞耶も香枝も口を揃えて言っていた。



「いないって…。
他校ってことなのかな……?」



ならどうやって、このセキュリティが厳しい私たちに学校に入れるのだろうか?

まさか、セキュリティが厳しくなったきっかけを作った、泥棒が桐野くん?



…いやいや、あり得ない。

ネットをいじるのが好きだとは言うけれど。

ハッキングまではさすがに出来ないだろう。