…そういえば。
私は桐野くんの方向を見た。
桐野くんは、『クローバー文庫』の本を手に取り、眺めている。
「桐野くんも好きな所行って良いよ」
「ん?
俺は良いよ。
ユメ好きな本見なよ」
「え?良いの?」
「どうぞどうぞ」
合わせてくれているのかな?
申し訳ない気もするけど…。
お言葉に甘えちゃお!
私は『クローバー文庫』の本を眺めた。
数分後。
私は1冊の本を手に取った。
「ん?買うのか?」
「うん!」
「ならレジ行っておいで。
俺待っているから」
「うん!!」
私はルンルン気分でレジへ行き、お会計を済ませた。
桐野くんがレジ付近の、邪魔にならない所に立っていた。
「桐野くん、お待たせ」
「待っていないよ。
それより、良い買い物出来たみたいだな」
「うん!
桐野くんのお蔭だよ!
私1人では来なかったもの!
今日かった本ね、結構前に発売されて、今じゃ書店に売っていないの。
それなのに売っていたんだ!
桐野くんが連れてきてくれたお蔭で、本が買えたの!
ありがとうね!!」


