「薙晶良かったな。」


「本当に良かったわ。」



「お父様、お母様……心配を掛けてごめんなさい。」



清憲と曝も薙晶の意識が戻ったと連絡を受け、病院に来ていた。


医者曰くしばらくは安静にしなければならないが、もう問題はないらしい。


薙晶の意識もしっかりしている。



「いいのよ。薙晶は悪くはないわ。全ては朔渕のせいなのだから。」


「そうだぞ。良いことをしようとしただけだ。流石我が娘なだけある。」



清憲と曝が薙晶に事件の概要を話していると、ドアがノックされた。



「はい。どうぞ。」



「失礼します。」



「また貴様か。」


「先程はどうも。」



扉が開き顔を見せた厠餉乘に、清憲は嫌な顔を隠そうともしない。



「ほら。」


「貴様……」


「聖!!」


厠餉乘に背中を押され姿を見せた浅雛に、清憲は更に嫌な顔をする。


反対に、薙晶は嬉しそうだ。



「行けって。」


「……うん。」



小鳥遊の力強い声に、浅雛は一歩を踏み出した。