「確かにそれは最低ね。」


「ですがその時、朔渕には意味が分からないことを薙晶は言っていたようなんです。」



罪は消えないけどやり直せる。


堂々と笑い合いたい。


約束したから。


証拠はある。



「薙晶が言った証拠を、朔渕は探していたようです。」


「だから病院にはいなかったんだな。意識が戻らなくても、証拠が見つかったら終わりだからな。」



病院で薙晶に張り付いてもう一度殺すチャンスを窺うより、朔渕は証拠探しに躍起になっていたらしい。

とことん、自分の事しか考えていなかったようだ。



「けど、何なんでしょうね?もしかして朔渕が好きだったとか?だから自首を勧めた…?」


「いくらなんでも、それは飛躍し過ぎだろ。」



悩んで出した仇夂の見解を、我黏は軽く笑い飛ばす。



「なぁ、浅雛もそうおも……、浅雛?おい、どうした?………お前まさか……」



話しかけた我黏も、声につられ目線を向けた面々も、その光景に言葉を失った。



何故なら、あまり表情を変えない浅雛が、顔を歪め声を殺す様に口に手を当て、涙を流していたからだった………。