だが、今回の件で小鳥遊との関係だけでなく必要とはいえ自分の過去まで知れ渡ってしまった。



同情や哀れみなら慣れているけれど、先輩や上司を突き放したり無視したりは出来ない。


他部署の人間にも同じことが言える。


そんなことをすれば、班の評判や評価を下げてしまうからだ。


とりあえずのところ曖昧に返したりしているが、事件が解決しないことにはそれも苦しくなる。


更には圧力のせいで、上層部からの班の印象はますます悪くなるのは必須。



自分のせいで班長を始めとした班全員に、これ以上迷惑をかけたくない。



被害者である薙晶に一番近いのは自分だ。


しかしそれ故に、捜査が出来ない。



突き落とした犯人も

突き落とされた動機も


その証拠の欠片さえ見つからない。



「……………………。」



八方塞がりの思考回路と現状。


祈る様に取り出し掲げて見つめるのは、ペンダント。


少し大ぶりのペンダントは、犯人と揉み合う可能性も考え職務中は危ない為付けていない。