「あそこまでするとは思いませんでした。」



結局、仇夂に押し切られる形で小鳥遊も捜査に加わることになった。


組むバディは勿論、仇夂だ。



刑事の捜査は2人1組が基本。

1人では何かあった時、対処出来ないからだ。



我黏も、厠餉乘と組んで捜査に行っている。


出たがりの厠餉乘にとっては、机に座り指示をする管理職より現場に出るのは嬉しいらしい。

不謹慎極まりないが…。



「俺だって浅雛がやったとは思えない。教育係なめんなよ。」



先輩風を吹かせながらも、浅雛が無実だと自信たっぷりに答える仇夂に、面を食らう小鳥遊。



「……まったく、変な自信、持たないで下さいよ。付き合うのも面倒なんで。」



「面倒とはなんだよ。」



「ちょ、肩なんか組まないで下さいよ。」



憎まれ口を叩きながらも、仇夂の優しさは理解しているらしく、その言葉に刺々しさは無い。


仇夂もそれを分かっているのか、その顔は嬉しそうに少しにやけている。




廊下を歩く2人の雰囲気は、今朝よりも優しいものになっていた。