ジャー
「…はぁ…」
…私、なにやってんだろ…。
水道で顔を洗ったら頭がスッキリした。
よし、戻ろう、と振り返ったら目の前にさとしが立っていた。
「…さとし…」
「大丈夫?」
「…えっ」
「さっき思い詰めたような顔してたから」
さとし…、気づいてくれたんだ。
「ううん、大丈夫だよ」
それでも臆病な私はさとしに心配かけたくなくて。
「戻ろ」
言い出すことは出来なかった。
「あっ!さとしく~ん!どこ行ってたの?」
教室に戻った途端に近づいて来た千歳。
その際、ちらっと私の顔を見て。
「ちょっとね」
さとしが気を利かせて曖昧にしてくれた。
「ふぅ~ん」
明らかに納得してない顔をしてるけど、一応返事をしてくれた。
すぐに別の人のところに行く千歳。
その後ろ姿を私は黙って見送った。


