「今日はありがと!」

「ぜんぜん!じゃあね~!」

…外は真っ暗。

早く帰らなきゃ。

カツカツカツ

パタパタパタ

……ん?

誰かがついてきてる?

そういえば最近不審者がここらへんを彷徨いてるって噂が…………。

やだ、怖い。

カツカツカツ

パタパタパタ

タッタッタッタ

コツコツコツ

「……はっ…はっ…」

助けて…さとし。

「ん?萌ちゃん?」

ビクッ

え……?

「…先生…?」

そこにいたのは保健室の先生。

「こんな遅くに急いでどうしたの?どこかに急ぎの用事?」

「…先生~~!!」

「うわっ」

ほっとしたら泣けてきた。

思わず先生に抱きついてしまった。

「……なにかあった?」

「……ウッ……ヒック……」

所々詰まりながら誰かにつけられていることを話した。

「…じゃあ、一緒に帰ろう」

「…え?いいんですか?」

「うん、萌ちゃんの家はあっちの方でいいかな?」

「…はい」

先生は私の肩を抱きながら歩き出した。


漸く家が見えてきた

「萌ちゃんのお家ってあそこ?」

「あ、はい」

玄関先まで送ってもらって。

「じゃあね」

と言って帰って行った。

バタン。

「……はぁ……」

家に入った途端、安心したのか腰が抜けてズルズルと尻餅をついてしまった。

…さとしの声が聞きたい…。

かばんからケータイを取りだし、さとしに電話を掛けた。

プルルプルルピッ

「あ、さとし?あの…『留守番接続サービスに接続します』……」

……はぁ……。

電話を切って部屋に戻ると自分の机に貼ってあるさとしと撮ったプリクラが目に入った。

「……さとし…、会いたいよ……」

そうぽつりと呟やいた声は闇に閉ざされて消えた。


その夜は心細くて眠れないまま朝を迎えた。