「先生?今帰りですか?」
「あ、うん。君達も?」
「はい」
さとしと先生が話してる間、私は気が気じゃなかった。
「さ、さとし……、もう帰ろうよ……」
「ん?そうだね。じゃ、先生。また明日」
「また明日」
そう言って先生と別れようとする。
良かった~~!!
あからさまにほっとしたそのとき、
~♪~♪~~♪
最近流行りの着メロが流れてきた。
これは確か…さとしの着メロだったはず…。
「あ、ちょっとごめん」
電話にでたさとしは。
「うん、うん。え?マジで?わかった。今すぐ行くから」
慌てたように電話を切りポケットに閉まった。
「ごめん、萌。ちょっと用事ができちゃってさぁ…、一緒に帰れないや…」
「え…?」
「でも夜道は女の子一人じゃ危ないしなぁ…、あ、そうだ!先生!」
「え?僕?」
行ってしまうところだった先生を呼び戻し。
「先生に送ってもらって?先生なら信用できるしさぁ、大丈夫だから!」
申し訳なさそうに手を合わせた。
「さ、さとし…!」
だめなんだって…!
お願いだからやめて、さとし。
しかしそんな私の願いも虚しく、
「じゃ、萌ごめんね。バイバイ。また明日ね。先生、よろしくお願いします」
と言ってダッシュで行ってしまった。
「さ、さとし…」
どうしよう…。
「じ、じゃあ、行こっか」
「はい…」
仕方がない…こうなったら腹括れ!萌!
要は写真さえ撮られなきゃいいんだから。
大丈夫!
「萌ちゃんのお家ってあそこ?」
「あ、はい」
玄関先まで送ってもらって。
ここまでは大丈夫。
前回もやった。
予想外だったのはその後。
ギュ
「ッ!?」
え…?
バッ
「は…?ちょっ…な、なにするんですか!?」
なんでいきなり抱きつかれた!?
「ああ、ごめん。ほら、虫」
「虫…?」
何か黒っぽい物体を手にしてる先生。
私が世界で一番嫌いなもの。
それが虫。
「ヒッ…きゃゃゃヤヤヤアアアア!!!!!!!!!!」
「え?萌ちゃん?」
「す、捨てて、捨ててェェェェェ!!!!!!!!!!」
「あ、ご、ごめん!」
やっと虫を手放してくれて私はゼェゼェしながら額(ひたい)の汗を拭った。
「じゃあね…」
「はい…、すいませんでした…。ありがとうございました…」
先生を見送ってから家に入る。
バタン
「はぁ…」
今日のところはまだ大丈夫かな…。
「……寝よ……」


