デスゲーム



ザワザワザワ

「…え?なに…?」

朝学校に行くと、昇降口にある掲示板に人が群がっていた。

近づいていく度、開ける道。

やっと掲示板が見えてきたと思ったら掲示板に貼ってある“もの”に目を奪われた。

そこには…。

「…な、に…?これ…」

保健室で先生と私が抱き合っている写真がところ狭しと並べられていた。

……いつの間に……?

ヒソヒソヒソ

周りを見るとみんな私を指差して何事か囁いてる。

嫌だ…、嫌だ…、嫌だ…、嫌だ…、嫌だ…。

無我夢中で写真を破り、カバンに入れた。

どうして?どうして?どうして?どうして?

突き刺さる視線。

耳障りなヒソヒソヒソ声。

私はその場から動くことができなかった。


ガラ

シーン

当然のように教室は静まり返る。

当たり前だよね…。

「…萌」

「千歳…」

「どういうこと?」

なにが、なんて聞けなかった。

そんなの充分過ぎるくらいに分かってたから。

「信じてたのに…」

ズキッ

「裏切ったんだね」

ドクッ

私は唇を噛んだ。

……泣いちゃダメ。悪いのは私なんだから。

千歳は最後の最後までこんな私を信じてくれたんだから。

怒って当たり前。

失望してしまったかもしれない。

嫌われたかもしれない。

それでも私は…、泣いちゃ駄目だ。

「なにも言えないの?」

「……………………」

「……はぁ…、わかった」

そう言って千歳は離れてく。

私は俯いたまま涙を必死に堪えた。

「萌」

こんどはなに?と顔を上げると、さとしの顔があった。

いつもは優しい声も冷たいし、表情も厳しい。

まれに見る“怒った怖いさとし”だった。

「萌」

「…」

「顔上げて」

それでも顔を上げれなかった。

だって今から言われること大体予想ついちゃうんだもん…。

私がなにも言えずにいると、さとしは私に近づいてきた。

「……萌、……別れよう」

…………ッ!!

「……ごめん、萌のこと、信じられない」

そう言って私の横を通り過ぎるさとし。

……もう、なにもかも終わりだ。

親友には見放され、彼氏にも愛想尽かされ離れていっちゃった。