「お、おはよ…」
シーン
もうお馴染みの光景。
さっきまで騒がしかった癖に私が来た途端静まり返る教室。
バシャ
…………………え?
「キャハハハ、その床掃除しといてね」
……冷たい。
制服はびしょびしょ。
……ああ、私、水かけられたんだ。
みんなは見て見ぬふり。
一緒になって笑ってる人もいる。
視線を感じてさとしを見るとスッと目を逸らされた。
……あ、はは…、信じてた人に裏切られるってこんなにつらいんだ…。
「……萌、大丈夫?」
え?
俯いていた顔を上げると千歳の顔が……。
「…千…歳…?」
「保健室行っといで。そこでタオル貰ってきな」
「…どう…して…?」
「どうして?親友だからに決まってんじゃん」
私は嬉しくて泣き出しそうだった。
やっぱり千歳は裏切ってなんかなかったんだね。
「……私は…信じてるから……萌のことを……絶対やってないって」
「あ、ありがとう…千歳…」
「ほらほら、泣くのはいいから早く行きなって。風邪引くから」
「うん、千歳……大好き」
「知ってる」
私は嬉し泣きをしながら教室を出た。
ニヤリ
不気味に微笑んだ千歳が私を見ていたとは知らずに。


