三人はえー、だってねー、と顔を見合わせる。


「さっき七瀬さん、今回のことで長い間休んじゃったから、
皆さんにご迷惑かけてすみませんって謝ってきたんですよ。

もうそんなんいいよーって思って」


「健気だよねー、なんか。
でも無理してるのこっちにも伝わってー」


「そうそう、
ああやって無理する人って、
突然ぽきっと折れちゃったりするんだよね。

心配かも」


それを聞いていた渡部が食事を食べながら会話にまざる。


「でも上条さんもたしか去年……

あっ、
すみません、余計なことを」


失言だったのに気付き、口をつぐむ。


「いや、別にいいが」


上条はあらためて父が亡くなった時のことを思い出す。



「確かに親が死んだ時は、
しばらくは沈んでいたな。

やっぱり親は一番身近な存在だし、
ショックも大きいだろう。

なるべく力になってやってくれ」


野田が上条の顔を見上げながら質問する。


「そういえば上条さん、
七瀬さんのお母さんの病院に
送っていったんですか?」


「あぁ、タクシーを待つより早かったからな」


「へぇ、そうなんですか……」


上条はまた透子の沈んだ顔を思い出し、
心配になった。


「七瀬はあまり近くに頼れる人がいないみたいだ」