今思っていることは、 全部なかったことにしないといけない。 天音さんを裏切れない。 七瀬透子だって、望んではいない。 天音の顔を思い浮かべ、 上条は強く自分の手のひらを握りしめた。 だけど。 もしかしたら。 そんな思いが、頭を掠める。 透子は静かに涙を流して泣いている。 上条は何も言わずに、俯いて目蓋を閉じた。