カフェの窓からは最初に彼女と出会った あの時計台が見えた。 花束を渡した時の嬉しそうな天音の表情を、 すぐに思い出せる。 自分と会うのが、楽しいと。 今度は花見に来たいと。 またあなたと一緒に、出かけたいと。 そう笑ってくれたことも、すべてが偽りだったのだろうか。 情けないことに、目の前の光景が歪みそうになった。 こんな気持ちは初めてで、 どうすればいいのか、分からない。 心が潰れてしまいそうに、痛かった。