悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

大切な人へのラブソングか……好きな人に歌ってもらえたら素敵なんだろうな。


そんなことを考えていると、ふいに柳と視線がぶつかる。

一瞬、時が止まったような感覚がした後、彼はほんの少しだけふっと微笑んだ。

その笑みが、今まで見たことがないくらい優しいものだったから──

なぜか、胸がドキンと波打つ。


それとほぼ同時に、再び柳のギターソロから曲が始まった。

けれど、さっきの曲とはまた違う、しっとりした雰囲気。

途中から軽快なリズムになるけれど、サビで盛り上がった後はまた抑えられる。

そんな抑揚があるメロディーと、まっすぐな愛情を表した歌詞は少し切なげにも聞こえて、ものすごく胸に響いた。


皆、本当にすごいな……

こんなに感動させられるなんて思わなかった。

ただの趣味でやってるんだろうと思っていたけど、それは間違いだったみたい。


自分の好きなことをやっていて、それでも相手の心まで動かせるなんて、多くの人が出来ることではないと思う。

今、目の前にいるこの人達はキラキラと輝いていて、眩しくて。

あたしとは違う世界にいるように思えてならなかった。