悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

柳が見知らぬ女子とよからぬコトをしているシーンを想像してしまい、それを消そうと頭をぶんぶん振っていると。


「あんまりふざけたこと言ってるとひよりに軽蔑されそうだから、もう一曲やろ」


再びギターを構えて柳が言った。

瞳を輝かせて、ぱっと顔を上げるあたし。


「まだやってくれるの? 何曲でも聞きたい!」


素直にアンコールすると、小さな音量で適当に弦を弾きながら柳が顔をほころばせる。


「クリスマスにぴったりのいい曲があるんだ。インディーズバンドのだから、ひよりは知らないだろうけど」

「あーあれね」

「いいね、やろうか」


柳の一言だけでどの曲のことかわかったらしく、涼平くんと相模くんが笑って賛同する。


「サブちゃん、おっけー?」


柳が斜め後ろを振り返りつつ聞くと、サブさんも一つ頷いて親指を立ててみせた。

皆が準備体制に入ると、涼平くんがマイクを使って言う。


「これは大切な人へのラブソングなんだけど、今日はひよりちゃんのために歌うからね」

「わぁ、ありがとう」


パチン、とウィンクする可愛らしい涼平くんに、あたしも笑いがこぼれた。