悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

背もたれのない木のベンチに移動する柳の隣に、あたしもちょこんと腰を下ろす。

そういえば、まだライブのこと言ってなかったな。


「柳、ライブ最高だったよ! 超人気でびっくりしたけどそれも当然だよね! いつもながら演奏もすごいしカッコいいし、もう鳥肌立ってまた涙出そうになって……」


さっきの興奮が蘇ってきて一気にまくし立てると、ギターを取り出していた柳の口元がふっと緩む。


「さんきゅ。でもあんなに人集まったのは、ひよりが描いたフライヤーのおかげでもあるぞ」

「……そうだといいけど」

「絶対そう。ありがとな」


頭をよしよしと撫でられて、嬉しさで胸の奥がくすぐったい。

最初はちょっと心配だったけど、やってよかったと心から思えた。


そして立ち上がった柳は、あたしの右太ももの上にギターを置いて抱えさせ、右手にピックを握らせる。


「左手の中指でここ押さえて弾いてみて」

「こ、こう?」

「ぶはっ、押さえてないとこ弾いてどーする」

「あれ?」


センスなさ過ぎのあたしに笑いながら、柳は格闘するあたしの背後に回る。