優しい柳に期待して、少しだけ胸をときめかせながら、半歩先を歩く柳を見上げて問い掛けると、彼は淡々と答える。


「あぁ、俺も今日はばあちゃんの家行くつもりだったから、そのついで」

「……あ、そう」


“ついで”ですか。そーですか。

なんかこう、“心配だからな”とか“一人で帰らせるわけにいかないから”とか、もっと胸キュンする言葉を言ってくれないかなー。


勝手な期待を裏切られて理不尽にむくれるあたしは、急に手を繋いでいることに違和感を抱き始めた。

ぱっと手を離すと、柳は不思議そうに振り返る。


「どうした?」

「なんか……おかしいじゃん、あたし達が手繋ぐなんて」

「なんだ、照れてんの?」


ふ、と笑みを漏らした柳の余裕っぷりに、あたしはますます意地を張ってそっぽを向く。


「そんなんじゃないけど」

「今さら手繋いだくらいで照れんなよ。裸だって見せ合った仲なのに」

「はぁっ!? 誰がいつどこで──」


言いかけて、幼稚園や小学校時代の懐かしい記憶が蘇る。

そういえば、一緒にプールに入ったことはあるんだった……。