悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

……ちょっと褒められただけでこんなに嬉しくなっちゃうなんて、あたしも単純だ。


『そっちももうすぐテストだろ? フライヤー完成させるのは7月入ってからでいいから、勉強やれよ』

「うん、両方頑張る。ごほうびもらわなきゃいけないし」

『……あ、そういやそんなことも言ったっけ』

「忘れないでよね」


結構本気で考えちゃってるんだから。

あたしが欲しいものは、お金では買えないものだけどね。


これから勉強だということをすっかり忘れて話していると、コンコンとドアがノックされた。

あたしの返事も待たずに少しだけドアが開かれ、お母さんが顔を覗かせる。


「ひよりー、秋史くん来たわよ!」


うわ、声が大きいよ!

目を丸くするあたしに構わず、お母さんは「勝手に上がってもらうからね~」と言ってドアを閉めた。


『……また秋史呼んだの?』


──ギクリ。

一段と低くなった声から、不機嫌さが手に取るようにわかる。

でもこの間も今日も、お父さんが呼んじゃったんだから仕方ない。


「あの、呼んだっていうか、今日は家庭教師なの。勉強教えてもらうことになって──」

『お前バカ?』


…………は?