悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

秋ちゃんが来る予定の時間は午後3時。その15分前を時計の針が指している。

とりあえず教科書を用意していると、机の上に置いていたスマホが震え出した。


「……柳だ」


着信ってことは、フライヤーの件かな。

どんな用件でも、声を聞けるのはやっぱり嬉しくて胸が弾む。


「……もしもし」

『ご機嫌いかがですか、お嬢様?』

「なにそれ」

『麗しゅうございますね。結構なことで』

「何キャラ?」


笑いながらつっこむと、『執事キャラ?』と言いながら、低めの小さな笑い声が鼓膜を揺さぶる。

これだけで気分が良くなって、あぁやっぱり好きだな、なんて実感する。


「今日はバイト休みなの?」

『いや、今バイト中。暇だから掛けてみた』


相変わらずだなと思いつつ、クリーム色の毛足の長いラグマットの上にぺたんと座り、柳の用件を聞いた。

予想通りフライヤーのことで、皆で話し合って一つに絞り込んだという。


「実はあたしもアレが一番いいかなって思ってた」

『あ、ほんとー。うん、カッコ良くていいよ。さすがひよりだな』