俺達が各々練習している間、ひよりはイラストを考えてくれていたようで、首をひねっては描いたり消したりを何度も繰り返していた。
そして時々、ギターを掻き鳴らす俺をじっと見つめる。
演奏を聞いているのか、弾いてる姿を見ているのかはわからないが、そのまっすぐな眼差しは俺の胸を揺り動かすんだ。
何も考えずにメロディーを奏でるのが好きで、ギターを弾いている時だけは夢中になれる。
でも、ひよりがいると頭の中は彼女で埋め尽くされてしまう。
親にねだって中学時代に買ってもらった、中古だけどゴールドパーツが輝く黒のレスポール。
重厚かつ甘い音が響かせられるこのギターだけが俺を虜にさせていたのに、浮気してごめんな。
余念を抱きつつ、それでも練習はしっかりと行い、午後4時半を回ったところでひよりは帰ることになった。
今日は大地の誕生日で、ケーキを買っていく約束になっているらしい。
まだ練習を続けるメンバー達を残し、俺は彼女を外まで送ることにした。
窓には無数の水滴が当たっていて、だいぶ雨が強くなってきているようだ。
灰色の空に覗かれながら、二人で静かな校舎の中を歩く。



