悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

横目で見やると、今の独り言をごまかすように、ひよりは笑って首を横に振る。


「あ、ううん! えーっと……あ、そういえば秋ちゃんがこの間うちに来てね!」


思い出したように口にしたのは、また秋史の話。しかも家に来ただって?

無意識のうちに眉間にシワが寄る。


「いろいろ話せて楽しかったよ。秋ちゃん彼女いないんだってー。意外だよね、皆からもすごい人気なのに」


ひよりは気に入ったらしいフライヤーを何枚か見比べながら、無邪気にそんなことを言っている。

この間から秋ちゃん秋ちゃんって……その名前をひよりの口がつむぐのは正直不快だ。


「……アイツの彼女とかどうでもいいし」

「気にならない? どんな人を好きになるのかなって」

「全っ然」


素っ気なく答えるとひよりは口を尖らせるけど、俺はそんなの知りたくもない。


……というか、秋史のタイプはなんとなくわかる。

幼いながらに、アイツが特別な目で見るコがいることに気付いていたから。

──俺と同じコを、すげぇ愛おしそうに見ているなって。