悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

──は!? ベ、ベッドぉ!?

それってそれって、やっぱりそういう意味……だよね?

何それ! あたしはこの人のそんな興味のためだけに、付き合わされようとしてるの!?


目が飛び出そうなほど驚愕するあたしの耳元で、深山さんの低い声が響く。


「君も自分がどうなるのか知りたいだろ? そこ入ろうぜ」


薄い唇の端を持ち上げて、彼が指差す先にあるのは、ピンク色のネオンに照らされるラブホテル。

いつの間にかこんなところに連れられてきたことに気付いて、またびっくり。


「ちょっと待ってください! 何でこんなとこに!?」

「そりゃあ、ヤることヤるために決まってるでしょ」



……という流れで、ラブホに連れ込まれようとしたあたしは、思いがけない人物によって助けられているわけです。


あたしがバージンであることを暴露してくれちゃったこの男は、忌まわしき幼なじみである大崎 柳(オオサキ ヤナギ)。

家が近所で、小学校まで一緒に過ごした。

授業中は特にぼーっとしてることが多くて、脱力系男子かと思いきや気が付くとイタズラをしているような、つかみ所のないヤツだった。