悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

あたしは校舎に背を向けて、一歩足を踏み出す。


「ひよちゃん?」

「ごめん、亜美……あたし礼拝サボる」


サボるなんて言葉が出たのは初めてで、亜美は一瞬目を丸くしたけれど。

すぐにあたしの気持ちを理解してくれたようで、にっこりと微笑んだ。


「わかった。じゃ早く行かないと!」

「うん」


あたしも笑って頷くと、柳を追って駆け出した。


「柳、待って!」


走りながら引き留めると、振り向いた彼は目を丸くする。

そのすぐ手前まで走り寄った時、昇降口の方から「待ちなさい!」と叫ぶ先生の声が聞こえてきた。

げ……あたし、だよね? やばいー!


「バカ……っ!」


後ろを確認しようとすると、そんな軽い暴言とともにあたしの手首が掴まれる。

ぐいっと力強く引っ張られたあたしは、校舎を囲む塀と民家の間の小道に入り込み……

──ついでに、柳の胸にも飛び込んでいた。


「っ、や、なぎ……!?」

「しー」


立てた人差し指を自分の唇に当て、片腕であたしを抱き抱える柳。

そのままそーっと顔を出して後方を確認すると、誰も追ってはこないようで、ふぅと息を吐いた。