悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

「……ごめんなさい……」


今まで黙っていたリカが、俯いたままぽつりと漏らした。

ものすごく小さな声だったけど、あたしにも柳にも謝っているようで、リカなりの誠意は込められているような気がした。


すうっと気持ちが軽くなったように感じた瞬間、校舎の方から誰かが声を上げながらこちらに向かってくる。


「何やってるの、あなた達? もう礼拝が始まるわよ!」

「うわ、先生……!」


くるくるパーマのおばちゃん先生が、門の前でたむろしていた、あたし達や取り巻きの女子達に早く入れと急かしに来る。

それを見た柳は「やべ」と呟き、すぐさま身を翻した。


「じゃーな。もうこれからは仲良くやれよ」

「あ──」


あたしと亜美に一言告げると、柳は軽やかに走り去っていく。

前方からは先生が来ていて、リカ達はそろそろと玄関に向かっているし、あたしも早く行かなきゃいけない。

だけど、どんどん距離が開いていく柳の背中から、目を離すことが出来ない。


どうして今日ここで隠れていたのか、どうして事情を全部知っていたのか、

わけを聞きたいし……ありがとうって伝えたいよ。今すぐに。