悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

目に熱いものが込み上げてきて、唇を噛みしめた。

あたしがここまで言い返すとは思わなかったのか、リカは怯んで目を丸くしている。


あたしだって、自分がこんなに必死になっていることが不思議で仕方ない。

だけど、怒りや悲しみや、いろんな感情が次々と沸いて来るのは、

きっと──彼に恋をしているから。


その時だった。



「よく言った、ひより」


突然、この女子校で聞こえるはずもない声が響き渡った。

リカに当てていた焦点を彼女の斜め後ろにずらして、目に入った人物の姿に、驚きで涙も引っ込んでしまう。

──何で、ここにいるの?


「柳くんっ!?」


声が出ないあたしの代わりに、亜美が呼ぶ。

正門の陰から姿を現したのは、ギターケースを肩に掛けて不敵な笑みを浮かべる彼だった。

さすがのリカも、あたしと同じく呆然として、開いた口が塞がらないって感じだ。


「どうしたの、リカ?」


例のお嬢様友達も集まってきて、キョロキョロと柳とリカを交互に見る。

周りの女子達も、柳の存在に戸惑ったり、黄色い声を上げたり見惚れていたり、様々だ。