悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

……不思議。

楽しそうに歌うマスターとギターを奏でる柳を見ていると、なんだかあたしもうずうずしてくる。

自然と歌いたくなって、歌詞カードに目を落とした。


英会話教室で歌った時のことをうっすら思い出しつつ、あたしも小さく声に出してみる。

マスターと笑い合いながら歌うと本当に気分が良くなってきて、恥ずかしさはいつの間にか消えていた。


そして、一人、また一人とお客さんも歌い出し。

最後のサビでは皆が一緒になって合唱していた。

なに、この一体感!

盛り上がる様子がおかしくて、あたしも柳も、その場にいる皆がずっと笑顔だった。


歌い終わると、温かい笑い声と拍手が沸き起こる。

すごいな……このスロースに来るお客さんって、たとえ知り合いじゃなくても仲良くなれちゃうんだな。


いえーい!と盛り上がったままの皆に笑っていると、いつの間にかギターを置いた柳があたしの隣に来ていた。


「毎週こんな感じよ」

「すごいね、楽しい!」

「な? 英会話教室も無駄じゃなかっただろ」


その言葉にはっとして彼を見やると、その口角が得意げに上がる。