悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

この人、気付いてたんだ……。

亜美と目を合わせて曖昧に頷くと、深山さんは穏やかに微笑んだ。

クールな顔立ちは一見冷たそうに見えるけど、その笑みはあたし達を安心させてくれるよう。


「全然気遣わなくていいから。こうやって逢えたのも何かの縁だし、せっかくだから楽しもうぜ」


そう言ってから揚げを一つ摘むと、あーんと大きく開けた口に豪快に放り込んだ。

ザ・肉食って感じの食べっぷりをぼけっと眺めていたあたしに気付き、深山さんはピザが乗ったお皿を差し出す。


「君ら全然食べてないけど腹減らないの? 遠慮するなよ」

「あ……実はちょっとお腹減ってました」

「おー食え食え。体力つけとかないともたないし」


これから運動するわけでもないのにそんなことを言う彼がおかしくて、あたしは笑ってピザに手を伸ばした。

……あれ、なんかいつの間にか緊張しなくなってる。

もしかして深山さんのおかげ?


クールであまり喋らない人なのかと思いきや、話すと結構楽しくて。

三人の男子の中で、あたしは彼が一番波長が合うような気がした。