「……姫。ここに、いらっしゃいましたか。急に外出されたかと思ったら、こんなところで昼寝なんて、無用心ですよ?」
「あら……寝てしまったのね、起こしてくれてありがと」
「夢でも、見ていたのですか?」
「ええ……。なかなか、可愛らしい、夢だったわ」
「そう…でしたか…」
「ふふっ…分かってるわ。それと、私は姫ではなくってよ…ちゃんと、名前で呼んで?」
「あ…すみません…帰りましょう、アスカ」
「ええ。やることはいっぱいあるわ。頑張りましょう?ヨウ」
二人は、歩いていく。
元、姫とその姫を守る、騎士。
終わりに向かって、歩いていく。
大切な人が、隣にいれば、それでも構わないと思った。
長い時を経て、二人は、再び出会う。
一人は、姫であったことを完全に忘れ、夢に見る景色がただの夢だと思う、鎖辺 明日香。
一人は、騎士であったことを覚えており、未だに守り続け、愛し続ける斎藤 陽介。
長い時を経て、二人は、再び結ばれた。