陽くんは、机の上のパソコンに向かい、文章を打っている。
私は陽くんの座る椅子に寄りかかり、少し微睡む。
陽くんの柔らかい雰囲気が好き。
私はここにいていいのだと、言ってくれているよう。
「明日香ちゃん。今日の分、終わったから寝よっか」
陽くんがパソコンを閉じながら言った。
もう、離れなくちゃいけないの?
「陽くん」
短く、彼の名を呼ぶ。
陽くんはあくびをしながら何?と答える。

「私も、陽くんが好き」

今まで、言えなかった。
言ったら、ダメな気がしていた。
私は高校生で?
陽くんは三十代後半?
すごい年の差。
「誰よりも、好き。陽くんじゃなきゃやだ。陽くんがいなかったら、私はここにいない」
そう、言葉を続ける。
陽くんは、さっきの眠そうな顔から一転、驚いている。
「明日香ちゃん…後悔、しても知らないよ?」
陽くんが聞く。
私はそれでもいいと答える。
「おじさんだよ?僕」
陽くんは自虐的に笑う。
私はおじさんでもかっこいいよと、笑う。
「明日香ちゃんに、出会えてよかった。誰よりも、明日香ちゃんが好き。僕が…一生守る。…幸せに…します」
陽くんが、顔を真っ赤にするのを初めて見た。
かわいい。
「陽くん…。大好き、だよ」
自然とほころぶ顔を陽くんに寄せ、唇を重ねた。

何よりも甘く、暖かなキスだった。