見るのも嫌。
匂いも嫌。
もちろん食べるのも嫌。

それが私のほうれん草嫌いを物語れる言葉。
それなのに机の上にはほうれん草だらけ。
「陽…くん…?まさか…これを食べろと……?」
口をパクパクさせながら確認をとる。
陽くんは楽しそうにニヤニヤとしながら
「そう、これがお仕置き。今日一日はずっとほうれん草料理だよ」
と答えた。
何よりも嫌いなほうれん草をこれだけ用意された。
辛い。すごく辛い。
「全部…食べなきゃダメだよね……?」
椅子に座りながら助けを求めるように陽くんを見たが、陽くんは笑いをこらえながら
「でないと、お仕置きにならないじゃん。いただきまーす」
と言って食べ始めた。
お仕置き…だから、ちゃんと食べないと…。
妙な使命感ともったいない精神で、ほうれん草どもに向かいに行った。