痛みで、目を覚ます。
視界を回しながらここが自分の部屋で、私は眠っていたのだと思い出す。
身体中に感じていた痛みは、体を起こす頃には消えていた。
「おかあ…さん…」
もう一度寝るのが怖い。
また、あの夢を見るんじゃないかって考えてしまう。
布団からでて、ベッドを降りる。大人用のベッドは、まだ小学校に入ったばかりの私には大きすぎて、寂しさを倍増させていた。
買ってもらったばかりの勉強机とランドセルを通りすぎ、自分の部屋を出る。
部屋や廊下がまだ暗いから、日が上る前の時間なのだろう。
寝室のドアノブに手をかけ、ゆっくりと開ける。
「お…おかあさん…」
暗闇になれてきた目に、布団が二人分の盛り上がりを見せているのを確認する。
お父さんとお母さん、今日は一緒に寝てるのね…。
声に出さず、部屋に入りドアを閉める。
部屋からはおかあさんの甘い匂いといつもは感じない匂いが漂ってきた。
多分、お父さんの匂い。
「お父さん、お母さん。今日は、あすかも一緒に寝るね…」
起こさないように、小さく言ってお母さんのとなりに潜り込む。
二人が抱き合うように、身を寄せ合うように寝ていたから、私も余裕で布団にはいることができた。
温かい二人の体温を感じていると、少しずつ眠くなり、また、夢の中に行ける気がした。
「おやすみなさい…」
呟くように言って、眠りについた。