陽介さんと暮らし始めて10年がたった。
仲良くなっていくうちに私は陽介さんを陽くん、と呼ぶようになった。
陽くんは大抵の事は何でもできる人だけど、ドジを踏むことがあり、家事を任せるのもうーんと考えるほどだった。
結局家事は私がほとんどやって、昼間は陽くんに任せることにした。

鏡の前で髪をまとめる。
鏡にはクリーニングに出したばかりの綺麗な制服を着た自分がいる。
長くなった髪は腰に届くぐらいになり、アレンジをするのが楽しかったりする。
でも今日は学校なのでポニーテールで動きやすく行こう。
「さて…陽くんを起こさなきゃ」
彼は私が起こさないと昼まで寝てしまい、出版社の人に怒られてしまうらしい。