私が言うと陽介さんは苦笑いと共に
「まぁ色々あったんじゃないかな。誰もやりたがらないけど、施設にもいれたくないって雰囲気だったし」
と言って紅茶のおかわりをいれた。
私も少し貰う。
「そうでしたか。えっと…これから何かやって欲しいこととかってありますか?家事は大体出来るつもりですが…」
私がお茶を眺めながら言うと陽介さんは
「うーん…僕も家事はできるから…あ。敬語、やめてほしいな。これから一緒に暮らすんだし…ね?」
と言って屈託のない笑顔を見せた。
「……うん。わかった」
敬語は苦手だ。
やらなくていいならそっちの方がいい。

陽介さんは不思議な人だ。
お母さんより若いのに、本を書いていて、なかなかに売れているらしい。
だから、私を養う余裕もあるそうだ。

家も、一軒家で自分のお金で買ったみたいだし、会ったこともなかった私を簡単に引き取ろうとすることから、普通の人ではないのかもしれない。

それでも、私は、彼に出会えてよかった。

彼と、暮らす日々が楽しみで仕方なかった。