「寒い〜」
中庭に出た私は激しく後悔する。
冬に中庭でお昼食べる馬鹿なんて私くらいだよ。
あまりの寒さに震えていると横で小野くんが舌打ちした。
「なんでこんな寒いのに中庭で昼飯食わなきゃいけねーんだよ」
「だ、だってしょうがないじゃん」
「中いこーぜ。どっか教室空いてるだろ」
「わかった」
ここは小野くんの意見にのってあげる。
校舎内に入った小野くんは早速、1階にある普段誰も使わない教室の戸を引いた。
「お、開いてるラッキー」
「これ、勝手に使っていいの?」
「うっせーよ、クソ真面目が」
小野くんのあとに続いて教室の中に入る。
なんだか気まずい。
小野くんはちょうど真ん中の椅子に座った。
私は急に恥ずかしくなって、戸のすぐ前で立ったまま。
「いや、座んねーのかよ」
「だ、だって...」
急に恥ずかしくなって座れませんなんて死んでも言えない。
「こっちこいよ」
不覚にもドキッとする私。
「お、おじゃまします...」
ギッと椅子を引く音が響く。
小野くんがパンの袋を開ける音も響いた。
こんなに袋の音ってうるさかったっけ。
「で、なに」
「えっ」
「なんかあるんじゃねーの」
朝のこと文句つけてやろうと思ったけど、いざとなると言いにくい。
「いや、あの、ね」
「...」
小野くんが私の方を見てるのがわかって目を逸らす。
「...なんだよ」
小野くんの低い声で怒ってるのがわかる。
早く言わなきゃって思ってるのに、それを言い出せない自分がいる。
「...朝さ...わざとでしょ...?」
「は?」
やっと言えたのにその反応。
逆にムカついて私は小野くんの目を見た。
「いや、だから!
朝教室に来て呼び捨てで呼んで...あれ、わざとでしょ」
小野くんは「ふーん」と頰杖をつきながら目を逸らした。
「他の女子たちがなんか言うのわかっててやったんでしょ」
小野くんは「そんなことかよ」と笑いながら顔を伏せた。

