私はゆっくり顔を上げる。
小野くんは「ん」と無愛想に手を差し伸べる。
何だよ...。
そんなことされたら...。
私は小野くんの手のひらに自分の手を乗せる。
「よっこいしょ」
私のその言葉に小野くんは「お前...ババアかよ」と声を漏らしていた。
小野くんは私と手を繋いだまま、歩き出した。
私は手を繋がれたまま、小野くんについていく。
すぐに離されると思っていた手。
小野くんも私も、何も言わずに歩いた。
ただ黙って学校に向かった。
学校の近くまで来ると、私はその手を無理矢理離す。
小野くんは私を見た。
「...私、先行く」
「は?」という声が聞こえたけど、私は振り向かず足早に歩いた。
小野くんは人気者だから。
私なんかと手を繋いでいるところ見られたら困るでしょ。
左手だけが温かくて、少し湿っている。
恥ずかしい。
変に緊張して、馬鹿みたい。

