「待ってよっ‼︎」
ここでしまったと思った。
別に待ってほしかったわけでもなし、一緒に登校したいわけでもない。
だからこその失敗を犯してしまった。
小野くんは一度足を止めて振り向く。
「何?一緒に行きたいの?」
「違うし!行きたくないし‼︎」
必死になって否定する私。
でも、行ってほしくない。
かと言って一緒に歩きたいわけじゃない。
「な、何でもない。早く先行けばか!」
思わず小野くんを呼び止めてしまって、なんだか恥ずかしい。
その恥ずかしさから私はローファーを見つめる。
顔、あげられない。
「自分から呼び止めておいてばかはねえだろ」
私の視界に茶色の靴が目に入る。
なんで...。
早く行ってよ。
小野くんの足の関節が曲がる。
額より少し上にデコピンをしたあと、「早く行くぞ、馬鹿女」と小野くんの足は真っ直ぐになった。

