私の口は、まるでひょっとこになっていることだろう。
離してほしくて、私は小野くんの片手を両手で掴む。
「...お前さぁ」
さっきまでの王子ボイスと違って、低い悪魔ボイスを出す。
「何なの。何様?俺に向かってそんな口聞いていいと思ってんの?は?」
言い返したくても、両頬をがっちり掴まれているせいで何も言えない。
小野くんは鼻で笑うと「ぶっさいくな顔しやがって」と手の力を緩めた。
両頬は解放されたけど、男の子に掴まれていたからか、じんじんする。
「あんたこそ」
「あ?」
「あんたこそ、なんで家知ってるわけ?」
これで私の勝ちだ。
お前は一生「ストーカー」というレッテルを貼られて生きていくんだ。
「何言い出すのかと思えば...」
「本当は、私のこと好きなんじゃないの?」
何故か自信をもち、そう話す私。
ドヤ顔で。
「お前まじで調子乗ってんの?」
小野くんは私の足を踏んだ。
「いっ‼︎」
あまりの痛さにその場でうずくまる私。
鬼かよ。
お前は悪魔と鬼のハーフか。
「じゃあな」
小野くんは私を助けるわけでもなく、いや、助けるわけないんだけど。
そのまま歩き出してしまった。

