私も急いで支度をし、家を出ようと玄関へ向かう。
お母さんは、いつも通り見送りに来てくれた。
「じゃあ、いってきます‼︎」
ドアノブに手をかけ、外の眩しい光が差し込んでくる。
「あっ」
眩しくてよく見えない。
「おはよう、彩香」
目が慣れると見えてくる。
私の家の前に立っているのは、小野くん。
「あら、やだ!私ったらこんな格好で」
私が声を発するより先に、お母さんが声を上げる。
私は小野くんから目が離せない。
小野くんは、私に一瞬だけ目を向けると、一歩前へ出た。
そして、お母さんに挨拶する。
「おはようございます。彩香さんとお付き合いさせていただいています、小野柊也です」
は⁉︎なに勝手なこと言ってんのよ。
間違ってはないけど...だけど、昨日嘘の付き合いを始めたばっかなのに。
「こんなかっこいい子と付き合ってたの、あんた」
「ま、まぁ...」
私は目を逸らす。
小野くんは「失礼します」と礼をして、私の家に背を向けた。
私も、小野くんについていくように背を向ける。
「ねぇっ!」
「...」
「ねえってば‼︎」
家から離れたあと、小野くんは早歩きを始めた。
私はついていくのに必死で、息を切らしながら小野くんを呼び止める。
なんで、家知ってんのよ。
いくら呼びかけても返事をしてくれない。
「おい‼︎聞いてんのか、小野っ‼︎」
小野くんの足が止まり、私は心の中でガッツポーズをする。
ついにあいつを止めた‼︎
しかし、そう思ったのも束の間。
小野くんは、私との距離をつめると、片手で両頬を鷲掴みする。

