「寒っ」
校舎から出た小野くんが背を屈めるように行った。
「もう冬だもんね」
私も風の冷たさを感じながら言う。
2人でずっと「寒いねー」なんて言いながら門を出た。
門を出たらなんだか急に2人とも静かになってしまって、気まずい雰囲気になる。
小野くんはこの状況、どう思ってるのかな。
私は気まずくて気まずくて穴があったら入りたい気分です。
なんとなく周りをキョロキョロする。
見慣れている風景なのに。
キョロキョロする自分は、迷子になった小さい子みたいで格好悪い。
そしてふと思う。
「お、小野くんっ...」
「ん?」
優しいトーンで聞き返される。
私はずっと思っていたことを聞こうと思い、口を開く。
「聞きたいことあって...」
ガチガチに緊張してしまっている私。
しかし、小野くんは「聞きたいことー?なに、誕生日とか?」なんてニコニコしている。
「な、なんで私と付き合ってくれたのかなー...って」
重い女です。
ちらっと小野くんを見ると、笑顔をやめていた。
「あ、いや。ちょっと気になっただけ!!」
今度は私が笑顔を向ける。
作り笑いだけど。
すると「あのさ」と小野くんの口が開いた。
ドキッとした。
それは、小野くんにドキドキしたとかそういうのじゃない。
何を言われるのかわからなくて、聞きたいけど聞きたくなくて。
私は作り笑いをいつの間にかやめていて、心臓の動きが速くなっているのを感じた。
「だって、面白そうじゃん?」
そう言って、ふっと笑った小野くんの顔は
あの王子様みたいな笑顔じゃなくて
悪魔のような笑顔をしていた。

