「杏、先生きてくれたぞ?」 二階の杏の部屋に下から声をかける。 返事はない。 「すいません、先生…」 ため息をついて頭を下げる。 「いえ… あの、杏さんにはお兄さんから伝えてもらっても?」 と申し訳なさそうに言うのは皆道先生、 杏の高校の陸上部の顧問。 「はい わざわざ来てくださってありがとうございます。」