「っ!!?」
目を見開いて、彼は起きた。
呼吸を整え、時計を見る。
「6時……10分………」
彼の学校は家から遠いので、もうそろそろでなければ間に合わない。
痛む頭を押さえながら布団から起き上がると、鏡に向かい、首を見る。
ちゃんと、引っ付いていた。
脈もある。
「夢……か……」
眉間に皺を寄せて、首を撫でる。
ここを、夢では切られた。
その瞬間を思い出しただけで、身震いがする。
そして、「今日は絶対に廃墟に行かない」と誓った。
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「よー、海(かい)、どうしたー?暗い顔してー」
クラスメイトに話しかけられ、海は、「嫌な夢を見た」とだけ答えた。
あまり、人には言いたくなかった。
大概、彼の見た夢は正夢となる。
飼っている犬が死ぬ夢を見たときは、次の日、犬が死んでいた。
なくしていたペンが箪笥の裏から出てくる夢を見たので、そこを探したら見つかった。
など、沢山ある。今回は自分が殺される夢、だ。
何がなんでも、生きねば。
と、授業中に考えており呆けていたため、教師からデコピンを食らったのだが。
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とりあえず、一日は無事だったと、重い息を吐いた帰り道。
こつ
と、後ろから足跡が聞こえた。
あまり人の通らない場所なのに、珍しいな、と。
後ろを振り返ると、なにやら黒い影。
こつ……こつ……
と、近づいてきている。
脳内で警報がなった。
逃 げ ね ば
それからの記憶は、殆どない。
ただ、ひたすらに走った。
こつ、こつ、こつ、こつ
と、足音はまだ聞こえる。
それならばと、建物に逃げ込んだ。
辺りは既に暗く、建物の中は、殆ど見えない。
それでも走った。
こつこつこつこつこつこつこつこつこつ
速く、大きくなる足音。
人が誰もいない中で、息を切らしながら走っているからだろうか。
ぐるぐると闇雲に、逃げているのに相手は迷うことなく追ってくる。
逃げなければ、逃げなければ、逃げなければ。
刹那、何かに躓いて転けた。
躓いたモノを見ると、そこには『手』。
その先にはこちらを見つめるようにして落ちている顔面蒼白の生首。
「あ………」
逃げねば。
腰を浮かしたとき、手が、彼の足首を掴んでいた。
ここは、廃墟。
彼は、後ろをゆっくりと、振り向いた。
真後ろに立つ影。
そして、彼の首へと、赤黒い刃物が振り下ろされた。
