「皆さん、めっちゃ上手くなってません?」
演奏が終わった後、春斗が後ろを振り向くと先生方にそう言う。
皆も、笑顔でよかったね、なんて声を掛け合っていた。
ふっと春斗を見ると、ばちっと目が合う。
ドキンっと大きく心臓が跳ねた。
すぐに逸らされると思った視線は、絡み合ったまま。
それから、春斗は目を細めると口を開く。
「安西先生、すっごくピアノ上手くなってましたよ」
それはまさかの褒め言葉で、
「あ。ありがとうございます」
と、私の返事は尻すぼみになってしまった。
「練習頑張ってましたからね」
「そうだね、安西先生は本当に真面目だから」
なんて、すぐに他の先生も褒めてくれて、どこか気恥ずかしい。
だけど、頑張ってた事を褒められると嬉しくなって来る。
やっぱり単純だ、私は。



