「文化祭、もうすぐだねえ」
「本当ですねえ」
「私、トライアングル完璧にするわ」
「ぶっ」
真面目な顔で辻先生が言うから、思わず吹き出す。
口の中にあんぱんなくてよかった。
あったら間違いなく出てた。
「どう?安西ちゃんの方は」
「あ。私の方は…ううん」
状況は中々芳しくない。
だから、これを食べたら少しだけ練習しに行こうかなと思ってたとこだ。
やる事たくさんだけど。
「そうかあ。まあ、トチっても大丈夫っしょ」
「……は、はは」
本当にトチっても、爆笑で済むだろうな。
でも、どうせやるならちゃんと弾きたいし。
「ってわけで、私は練習して来ます」
「え?本当に?偉いね、安西ちゃん」
「時間がないんですよっ」
「あはは、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
私はいつもの持ち物を腕に抱えると、辻先生に挨拶して職員室を出た。



