俺が顔を近付ける度に、頬を真っ赤に染めて


あぁ、なんでこんなに可愛いんだろ……



まさか、本当に芽依から『好き』って言葉が出てくるとは予想もしてなくて。


情けないほどに声が震えた。



そんな俺を芽依が笑うから


俺はいっぱいいっぱいなのに、なんでコイツはこんなに余裕あんだよって悔しくなって


手をギュッて握ると芽依の小さい手が震えていた。



あぁ、芽依も俺と同じなんだって思った。


誰よりも相手が好きで大事で


何度諦めようとしてもできなくて


もどかしい気持ちを胸にずっと抱いて


俺たちはすごく遠回りをしたんだな。



『姉弟』という肩書きに縛られて


きっとそれは、これからも俺たちを縛り続ける。



だけど、周りに認めてもらえなくても


結婚できなくても


俺は別にいいと思うんだ。



『肩書き』を世界一嫌う俺の、些細な抵抗かも知れないけれど。



それでも俺は、芽依だけを一生愛していく自信があるから。


愛のない結婚をする人よりも


俺たちのほうが何倍も幸せだと思うんだ。



「ね、ねぇあっちゃん!この観覧車、頂上でキスしたらそのカップルは永遠に…」


「幸せになれる」


そんなの知ってるよ。


だからわざわざこの遊園地に来たんだ。


芽依と二人でこの観覧車に乗るために、必死で岡田さんの機嫌を取って。


俺は迷信とか噂とか運命とか、そんなの信じるタイプじゃないけど


芽依となら、そういうのもありかなって思えるんだ。



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